仏教の教えについて

言の葉カード

 誰でも苦しい事はいやなものです。できれば避けたいと思います。近年は特に老・病・死は身近ではなくなってきているように思います。お年寄りは老人施設に入り、病気になれば病院に、死はできるだけ身内の者だけでそっとお葬式、お骨は散骨と言って空や海に撒き、樹木葬と言って木の根元にお骨を納めたり、どうでしょうか老病死は身近ですか。どんどん老苦も病苦もその延長にある死も、見えにくくなってきていませんか。特に子どもたちには見えてないのではないでしょうか。まるで苦を見せないようにしているかのようです。手に入れたいものを買い与え、ひもじい思いをできるだけさせたくないと、親は頑張って働き、子どもは子どもで友達と遊ぶにもそれぞれに塾や習い事をしているので、遊ぶにもアポを取らないといけないとか、お互いに気を遣って、できるだけ苦にならないように生活をしています。それで苦を遠ざけることができれば、良いのでしょうが、人生はそう都合良くならないことを、誰もが知っていることでしょう。都合の良いときもあるでしょうが、むしろ自分の都合にあわないことの方が多い。
 「苦」こそ人生とはよく言ったものです。苦を避けるのではなく私に与えられた時間、環境を通して「苦」を大切にする歩みをしたいものです。

『ブッダの教え』
三品 正親氏
真宗大谷派 蓮生寺前住職(滋賀県)

『花すみれ』2023年4月(大谷婦人会)より
教え 2026 06