著名人の言葉

言の葉カード

 ロックミュージックは、やっぱりやみくもな「大丈夫だよ」をみんなで言ってくれるんですよね。オールライトです。からっとしているというか、悩みとかも受けとめて、「大丈夫だよ」と言ってくれる音楽なんです。そういうところが好きです。だから啓蒙主義的な音楽とはまったく別のところにある音楽なんですね。大衆音楽なんです。
 『生者のマーチ(※)』は、お葬式の歌というより、生きている人たちのための歌なんです。生きている人たちの行進曲です。誰かが死んで悲しいということを歌っているんじゃない。生きているからこそ、引き寄せたり抱きしめたりしなければいけない。それは生きているときしかできない。いつか死ぬという悲しみをたずさえながら、生きているということをたたえるための歌。そういうつもりで作ったのですが、やっぱりみんな死のほうへ引っ張られる。もちろん鎮魂歌みたいな要素もあります。いつかは、ぼくたちも大きい何かに帰っていく。でも、生きているということを、もう少しみんな肯定的に自分の近くに手繰り寄せて、もっとぎゅっと抱きしめて生きなきゃいけないなと思うんですね。

『生者のマーチ』
ベストアルバム『BEST HIT AKG 2 (2012-2018)』に収録の曲

後藤 正文氏
ミュージシャン/アジアンカンフージェネレーション

「サンガ」№155より
著名人 2019 04