僧侶の法話

言の葉カード

 あるお寺の掲示板に「一生懸命頑張って生きることよりもこの世をゆっくりとていねいに生きて往きたい」と書かれていました。この言葉は、私が大切にしている言葉です。
 私たちは、つい一生懸命頑張ってしまうことがあります。頑張りすぎてしまうと「なんで私だけが」とか、認めてもらえないときは「こんなに、頑張っているのに」と、つい愚痴(ぐち)になってしまいます。つまり、我を張ってしまうわけです。「我を張る」でがんばると読めますよね。そんな私に「もうがんばらなくていいよ。あなたはあなたのまま、そのままで」の呼びかけを聞くこと、そして「ゆっくりとていねいに」生きて欲しいと願われているのでしょう。

 ネット社会の今、情報が多岐に溢(あふ)れております。そんな中を、ゆっくりしていると取り残されてしまう恐れを感じてしまいます。また、それにスピードが求められ、慣れてくるとぞんざいになってしまうんですね。そんな私に「本当にそれでいいんか」と立ち止まらせ「あわてなくてもいいよ」「あせらなくていいよ」と
 あせらず、くらべず、あきらめず、ボチボチいきましょう。

成井 暁信氏
真宗大谷派 西教寺住職(奈良県)

「南御堂」新聞2021年12月号(難波別院)より
法話 2022 10