私には、「生きることを学ぶ」という言葉が心に深く響いてきたことがあります。それは、私自身が、何をしでかすかわからない自分自身の煩悩(ぼんのう/欲望)に恐れおののき、生きるのが辛く、生きることから逃げようとしていた時のことでした。その時、たまたまキリスト教のお墓に記された “Learn to live, and live to learn” (生きることを学び、学ぶために生きなさい)という言葉が目に飛び込んできました。
その言葉は私に、「あなたは生きることを楽しいこと、幸せなことと思い込み、辛いことがあるからと、生きることから逃げようとしているのではないか。人生とはそういうものか。人生には、苦しいこと、悲しいこと、病も老いも死もある。そういう人生をどう生きるのか、もう一度学び直しなさい。あなたはそのために生きるのだよ」、そう呼びかけてきました。私はその言葉に出会い、よろよろと立ち上がることができました。
宮森 忠利氏
小松大谷高等学校 前副校長
『苦悩を超えて歩む』(東本願寺出版)より
法話 2021 01