悲しい時や苦しい時、人はなぜ涙を流すのでしょうか。人間の理性ではどうすることもできません。生きていれば、大切な人を亡くす経験は誰にでも訪れてしまいます。現にその最中であるかもしれません。亡き人の初盆をむかえる人もいらっしゃるでしょう。
金子大栄(かねこだいえい)という浄土真宗の僧侶の言葉に、「悲しみは悲しみを知る悲しみに救われ、涙は涙にそそがれる涙にたすけらる」とあります。悲しみや涙をとおしてしか出あえない世界があるということを教えられます。できれば出あいたくない悲しい出来事だったとしても、当たり前にとおり過ぎてしまっていた日常を、改めてありがたいことだったんだと気づかせてくれるはたらきが、「悲しみ」や「涙」にはあるのかもしれません。
時に生きることに迷ってしまう私たち。耳を澄ませて、手を合わせる時間を大切にしたいものです。
ヘレン・ケラー
教育者(アメリカ)
著名人 2020 08