僧侶の法話

言の葉カード

 いつお参りしても、阿弥陀(あみだ)さまって、ずーっと立ってるんだよね。なんでだろ? 座って休む暇がないほど、私たちのことが心配なんだって。阿弥陀さまは一日も休まず、みんなが寝てる時も、夜も昼も立ちっぱなしで私のことを心配してくれてる。「阿弥陀さま、そんなに心配しないで、たまには座って休んでてください」ってお願いしても、人間のお願いなんか、ちっとも聞いてくれないで、阿弥陀さまは黙って、ずーっと立っておられるんだよね。まったくお節介だよね。
 お日さまの光っていうのもお節介だよね。どこまでも私の影を教えてくれるんだもん。「もういい!!」って言っても、自分から自分の影は絶対離れないもんね。「あなたはそこにいる!」って、ずーっと教え続けてくれるんだよね。お日さまの光って、阿弥陀さまに似てる。阿弥陀さまもお日さまの光みたいに、私たちを照らしながら、どんなことがあっても「あなたはそこにいるんだよ」って私に教えてくれてるんだよね。
 悲しかったり、淋しかったりしたら、お日さまの前に立ってみるといいと思う。お日さまに照らされてみると、必ず自分の影を確かめられる。「あぁ、私はここにいたな」ってね。
 阿弥陀さまは、いつでもどこでも「みんなどこにいますか? 何してますか? 大丈夫ですか?」って私のことを心配してくれてるんだ。そんな阿弥陀さまの問いかけに「私はここにいますよ」ってこたえる言葉が、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」って言葉なんだね。
 自分が一人ぼっちに思えた時は、お日さまの前に立って、この「南無阿弥陀仏」の話を思い出して欲しい。どんなことがあっても、自分の足元を離れない自分の影を確かめたら、「あぁ、私はここに生きてるなぁ」って、「南無阿弥陀仏」とそっと声に出してみて。阿弥陀さまは、必ず私を離れずそこにいるから…。

松田 亜世氏
真宗大谷派 前青少幼年センター主幹

真宗大谷派青少幼年センター
子ども会情報紙『ひとりから』第20号より
法話 2019 07