仏教の教えについて

言の葉カード

 お寺などで、仏さまのお話を聞いた後の感想はさまざまです。「仕事の参考になります」「聞かせてもらっているから家のなかが円満です」「いつ死んでもいいという覚悟ができるような気がします」など。このように、私たちは日ごろ、仏さまの教えを聞いても、自分にとって都合のいいようにすりかえているのではないでしょうか。
 そのことを、第八代蓮如上人(れんにょ ※)は、「意巧(いぎょう)に聞く」(心巧みに聞いていく)と指摘されています。私たちが仏さまの教えを聞くということは、自分の都合を主とした「ものさし」を問い直させていただくことにあるのです。
 私たちは各々にさまざまな問題を抱えています。それらのことをご縁に仏さまの教えを聞き、互いに話し合うことで、ごまかしようのない自分の姿が照らし出され、自分のものの見方や考え方、発想が問い直されていくのでしょう。その歩みを賜るとき、「ものさし」のいらない世界、お互いがあるがままに出会っていける世界をいただくことができるのです。

蓮如(1415~1499)
室町時代の浄土真宗の僧侶

『蓮如上人御一代記聞書』(蓮如)

月刊『同朋』2015年6月号(東本願寺出版)より
教え 2020 12