著名人の言葉

言の葉カード

 「もう歳も歳だし、今さらしょうがない」「まだ若いから、経験を積んでからにしよう」…。思わず口をついて出る言葉。自分を納得させる言い訳のように使ってしまいます。出来事の大きい小さいにかかわらず、何かを後回しにしてしまうことはよくあります。
 あるお寺の掲示板に「志を立てるのに、老いも若きもない」という松下幸之助の言葉が掲げられていました。「行動せよ」という、精神論的な言葉のようにも受け取れます。しかし、やらずにはおれない、確かめずにはおれない、行かずにはおれないといったような、そういう思いまで蓋を閉ざしていませんかという呼び声のようにも聞こえます。

 何かを後回しにしてしまったり、自分の思いに蓋をしてしまったりということについては、現代社会の様相も少なからず影響しているような気がします。つまり、他人の目線や評価を気にしてしまう。反対に、他人が為すことばかりに目がいってしまう。それは「比べる」という心があるからでしょう。そうすると、自らを省みることなしに、他の人の言動や行動ばかりが気になってしまうものです。
 他人の志ばかりに口を出すのではなく、果たして自分はどうなのか。そんなメッセージとしても、胸に刻みたい言葉です。

松下 幸之助氏
実業家・経営者

著書『道をひらく』の言葉
著名人 2022 05