著名人の言葉

言の葉カード

 孤児院では、話を聞ける相手はいつも自分自身だった。自分の中にインナーチャイルドがいて、悩んだりすると、自分の中にいるもう一人の子に問いかける。だから帰る場所はいつも自分だった。日本に来てからも、理不尽ないじめに遭(あ)った。母に弱音を吐くこともできなかった。

 昔は明るくなければいけない。天真爛漫(てんしんらんまん)で、求められるものに応えていかないといけないとずいぶん頑張ったのです。でも、靴と一緒で、合わない靴をはいて歩いていたら靴擦れする。それって長続きしないですよね。だから、自分の歩幅で歩いていく。自分のペースでいいのだ。私は私。弱いからこそわかる強さもあるのですね。

 あがくのをやめたら楽になりました。水の中と一緒で、あがいたら沈んでいくだけで、あがくのをやめたら意外と浮いていられて、すごく気持ちよくなれたし、逆に周りに同じ思いを持った仲間たちがいることを知ったのです。

サヘル・ローズ氏
俳優・タレント

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真宗会館広報誌『サンガ』145号より
著名人 2025 05