著名人の言葉

言の葉カード

 私は『サンガ』の「分断の手当て」という連載の中で、「大きな主語」ではなく「小さな主語」を皆さんに届けたいと思っています。連載ではいつも、「○○さんは」という固有名詞、名前が挙がるような記事を心がけているんですが、固有名詞で語ろうと思うと、やはり現場に行かなきゃいけないんですよね。現場に行かないと、「○○さんは」とは言えないわけです。
 そういった意味でも、メディアで発信をする一人として、絶対に現場に行かなければいけないと感じています。つい先日行ったパレスチナのヨルダン川西岸地区、ジェニンという場所でも、やはりパレスチナという大きな主語では語られない、厳しい現状が目の前に横たわっていました。

 大きな主語がぶつかり合うと、何の救援もない中で、当事者同士が孤立感だけを深めていきます。大衆は非常に冷たいですから、関心がなくなれば、また他のテーマに関心を移し、何も解決しないまま去っていってしまう。そういうことが繰り返されてしまうんですね。
 人々の「Aだろう」、「いや違う、Bだろう」というような対立のなれの果てに、排除、排斥、憎しみの連鎖が生まれます。そのような大きな主語ではなくて、小さな主語で語ることによって、初めてお互いが協力し合える、その接点を見いだすことができるんだと思います。

堀 潤氏
(ジャーナリスト・キャスター)

第17回「親鸞フォーラム」より
著名人 2025 04