仏教の教えについて

言の葉カード

 「凡夫(ぼんぶ)」とは「仏教の教えを理解していない人」という意味で、自己中心的に生きて苦悩する私たちのことを指しています。また「無明(むみょう)」とは、人の心を惑わす多種多様な煩悩(ぼんのう)の根本のことで、物事の道理に暗い状態といってよいでしょう。私たちにはそんな無明煩悩が充満しているのです。

 ですから、自分の思いどおりにいかなかったり自分より優れた人を見ると、無明煩悩がすぐさま芽を出し、怒りや腹立ち、うらみやねたみが生まれ、そこから逃れることができずに苦悩するのです。このように仏教は、苦悩の原因を他人や環境といった外側に見るのではなく、自身の心の内に見ます。これを「内観道」といいます。
 怒りや腹立ちの気持ちがでてきた時はどうすればよいのでしょうか。ある先生は次のようなことを言っています。「怒りやねたむ気持ちがでてきたら、止めようとするのではなく、あっ、私のなかから人間(の本性)がでてきた、でてきたと思いなさい」と。ちょっと肩の荷がおりるのではないでしょうか。

『一念多念文意』(親鸞)

『人生を照らす 親鸞の言葉』(リベラル社)より
教え 2024 02