人と人の関係性のあり方に、型を決めないほうがいいのかもしれません。家族円満で幸せだというのは、本当に幸せなことであるんですけど、それは奇跡的な部分もあると思うんです。そうじゃなくて、支え合う人がいるということによって、すごく助けになるのではないでしょうか。
友人が始めた児童養護施設の支援活動をたまにお手伝いさせていだくと、「家族の形」というものの難しさを痛感します。私たちはつい「ここから先は他人の出る幕じゃない」と遠慮してしまいがちで、それがかえって子どもたちを苦しめることもある。でも、他人だからこそ差し伸べられる手もあるはずです。
人と人のつながりって、名前の付けられないつながりもあると思うんです。それは親子とか上司と部下とか友だちとかとも違ったり、恋人でもなかったりするかもしれないけど、何かゆるやかな人とのつながりみたいなものを是とするというか、ありだよねと言える状況がいっぱいあってもいいのかと思ったりするんですね。友だちに「親友だよね」と言った瞬間に、何かその人とのつながりがすごくいびつなものになっていくというか、型にはまっちゃうというか。「仲いいよね」ぐらいのゆるい感じがいっぱいあったほうが、生きやすい社会だと思います。
永井 紗耶子氏
作家
真宗会館広報誌『サンガ』188号より
著名人 2024 08