著名人の言葉

言の葉カード

 自分と同じ「望まない孤独」を多くの人が抱えています。それは子どもたちでも同様です。家庭や地域で支えてあげるのが理想だけど、悠長に待ってられません。だから、子どもでもアクセスできるよう、匿名で、顔も声も出せなくてもいい。苦しいとき、誰かを頼りたいと思ったときに、いつでも話を聞いてくれるチャットというツールを選びました。頼れる人との出会いが奇跡であってはならない。あなたの居場所があることを、子どもたちに伝えたいと思ったんです。
 開設した日、40件の相談が来て、次の日から急いで相談員の募集をかけました。どんどん手を挙げてくれて、お医者さんもいれば看護師さんもいる。これだけ死にたいって人がいる一方で、そこに手を差し伸べようとする人もいっぱいいるんです。

 相談してくる子どもたちのなかには、親や先生に心配をかけたくないという気持ちを抱えた子がいっぱいいるんです。ぼくは懲罰的自己責任論と呼んでいます。結局自己責任のみが蔓延(まんえん)して、苦しいことや悩みがあっても、これは自分の責任だから迷惑をかけたらいけないと。相談することを、ある意味負けとか恥ずかしいことと考えてしまい、頼れない。すごく優しい繊細な子が多いんです。
 そんな子どもたちでも頼れる場所、第3の居場所みたいなものが常に必要だろうと。重要なことはいつながりなんですね。いざというときに頼れる場所がある、そんな場所であり続けたいなと思っています。
 おなかが空いたらご飯を食べて、のどが乾いたら水を飲むのと同じように、孤独を感じたら誰かとつながらないといけないじゃないですか。誰かに頼ることで、孤独を乗り越えることだってできるんですね。だから、まずは頼れる場所をつくっていかなければと思うんです。

大空 幸星氏
NPO法人 あなたのいばしょ 理事長

真宗会館広報誌『サンガ』177号より
著名人 2022 07