若いときは、仕事の悩みを家に持ち帰って眠れなくなったり、がむしゃらに頑張ったりしていたのですが、年齢を重ねることで力の抜き加減がわかってくるんですね。病気やつらい心理状況ゆえにこわばってこられる患者さんと向き合うのに、こちらもこわばるのではなく、いかに力を抜くかみたいなことは歳をとった人ほど長(た)けてくるのかなと思うと、歳をとるってまんざら悪いことではないなと思います。
人って自分でコントロールしなくても息をしていますよね。すべてを自分でコントロールしようと思わなくても生きていける。力を抜くっていうことで言えば、歌も相当力が抜けていないとできないことなので、音楽をするうえでも、医者として患者さんに接するときの心構えとしても、大切なことだと思っています。
アン・サリー氏
歌手・医師
真宗会館広報誌『サンガ』175号より
著名人 2022 01