本当の「幸福」とは何でしょうか。思い描くことはそれぞれ違うでしょうし、違って当然かもしれません。しかし、もしかすると自分の幸せのために誰かが不幸せになっているかも…。
江戸時代から明治時代にかけて活躍された近江商人(おうみしょうにん ※)の経営哲学に、「三方よし」という考え方があります。「売り手よし、買い手よし、世間よし」。つまり、商売事をするにあたっては、自分だけよければよいという考え方ではなく、買い手である相手、そして社会が豊かになること。自らの利益のみを追及するのではなく、社会全体が幸せになっていくことを忘れてはいけませんよ、という思いが込められているのでしょう。
このことは社会、経済だけの話ではなく、私たち一人ひとりに通じますね。
よく聞くお話に「これを手に入れたらあれも手に入れたくなった」ということがあります。つまり、求め続ければ求め続けるほど、欲望の炎は消えないのでしょう。それは、他人と自分の幸福を比べる心があるから。是が非でもという気持ちではなく、お互いがおすそわけし合えるようになるにはどうしたらいいのかと考えていくことに、どうやらこの言葉に対するヒントがありそうです。
- 近江商人
- 現在の滋賀県で行商していた商人の総称
宮沢 賢治
詩人(日本)
著名人 2019 11